院長コラム『Dr.原口のご存じですか?』
皮膚色の変化(色素斑)~しみ・くすみ~ Part1 「老人性色素斑」
皮膚の色が変化したものを色素斑と呼びます。赤く変化すると「紅斑」、内出血など紫色に変化すると「紫斑」となります。茶色く変化した「褐色斑」はいわゆる「しみ・くすみ」として加齢現象の象徴的存在といえるので、気になる方も多いと思います。原口クリニック美容皮膚科の診療項目に「しみ・くすみ」として簡単にまとめていますが、もう少し詳しく解説していこうと思います。
しみの代表格「老人性色素斑」
顔や手の甲など目立つ場所に茶色いしみができて、老けた印象になったとお悩みの方も多いと思います。しみにはさまざまな種類がありますが、その中でも「老人性色素斑」は最も多く、名称からもわかるように加齢現象の代表的な位置づけになっています。
「老人性色素斑」とは?
老人性色素斑は境界明瞭で茶色く、円形や楕円形の色素斑です。
皮膚表層の表皮最深部にメラノサイトという細胞が、メラニン色素を過剰に作り、貯まってしまった状態です。
メラノサイトは紫外線の影響から肌を守るためにメラニンを作る役割があります。短期的な反応としては日焼けになりますが、長期間刺激を受け続けるとメラノサイトがメラニンを作り続ける習慣ができあがり、しみになると考えられています。
紫外線のほかにもこする刺激も老人性色素斑の原因になります。しみが気になる方は日頃のスキンケアを見直すことも必要です。
「老人性色素斑」の治療方法
老人性色素斑の治療は、シミの原因であるメラニンの対処で、次のように分けられます。
- メラニンを排泄する
- メラニン合成をブロックする
- メラニン及びメラノサイトを除去する
それぞれの治療を組み合わせて行うことが重要です。
<メラニンを排泄する>
表皮の中にたまったメラニンを、古い角質ごと排泄する治療です。
トレチノイン外用、光治療、ピーリング
<メラニン合成をブロックする>
色の原因になるメラニンを減らす治療です。
ハイドロキノン外用、ビタミンC、Eの内服・外用
<メラニン及びメラノサイトを除去する>
レーザー治療
「老人性色素斑」のまとめ
- 老人性色素斑は加齢や紫外線、こする刺激などによる皮膚へのダメージが原因
- 色はメラニンが貯留して濃くなっている
- 治療はメラニンの排泄、メラニン合成のブロック、メラニン(メラノサイト)の除去
- 自分の肌質にあった治療・スキンケア方法を組み合わせることが重要
- 治療、予防のために紫外線対策を万全に行う