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院長コラム『Dr.原口のご存じですか?』

皮膚のできもの(皮膚腫瘍)Part4 「いぼ」

「いぼ」は一つの病気ではありません!
 一般に「いぼ」と呼ばれる状態は、医学的には一つの病気を指しているわけではありません。大きくなるもの、数が増えるものなど性質が異なるため、種類によって治療方法が変わります。正確な診断のもとに治療を行う必要がありますので、気になる「いぼ」は皮膚科または形成外科専門医を受診して治療を行いましょう。

「いぼ」の種類
 「いぼ」にはどのような種類があるのでしょうか?代表的なものをピックアップしてみます。ここにあげたもの以外にも、角質や汗腺、脂腺からできるもの、線維腫、感染症など、たくさんの種類があります。

  1. 尋常性疣贅
     「いぼ」と呼ばれる病気の中で最も多く、ヒトパピローマウイルスというウイルスの感染症です。子供から青年に多いですが、免疫力が低下した高齢者にも見られます。手足や指にできやすく、硬く盛り上がります。例外的に手のひらや足の裏はあまり盛り上がらずに硬いクレーターのようになることがあります。

  2. 扁平疣贅
     青年期に多いため、青年性扁平疣贅とも呼ばれます。顔や手足を中心に、周りの皮膚と同じような色で、やや平たい「いぼ」が集団で出現します。扁平疣贅もヒトパピローマウイルス感染症になります。

  3. 尖圭コンジローマ
     性感染症としても知られているヒトパピローマウイルス感染症です。陰部や肛門周囲に、周りの皮膚と同じから少し赤みを帯びた「いぼ」が多発します。

  4. 伝染性軟属腫
     小児に多く、一般に「みずいぼ」と言われます。ポックスウイルスというウイルス感染症で、免疫が十分できていない小児やアトピー性皮膚炎の方にできやすいことが知られています。中には乳白色の粥状物が貯留しています。

  5. 脂漏性角化症
     中高年に多く、「老人性いぼ」とも呼ばれます。表皮の加齢現象として黒から茶色い「いぼ」が顔や背中などにできます。加齢とともに数が増え、大きなものは皮膚悪性腫瘍との区別が難しい場合があります。

  6. アクロコルドン(糸状疣贅)
     中高年に多く、「みはりいぼ」とも呼ばれます。首やわきの下にできる小さな「いぼ」が無数に出現します。前述の脂漏性角化症の小型のものや、小さな軟性線維腫などが含まれます。加齢とともに数が増えますが、悪性腫瘍との区別が難しい状態にはなりません。

「いぼ」の治療
 「いぼ」の治療には局所麻酔が不要な処置と局所麻酔が必要な処置があります。

  1. 局所麻酔が不要な処置:冷凍凝固療法、サリチル酸外用など
    いずれも簡便で痛みの少ない処置ですが、複数回の処置と定期的な受診が必要になります。

  2. 局所麻酔が必要な処置:電気・レーザー焼灼、外科的切除(手術)など
    深部まで一度に治療ができ、治療回数が少なくすみます。特に手術では病理組織検査を行うことで、悪性腫瘍の可能性がないか、完全除去ができているかを確認することができます。

「いぼ」のまとめ

  • 「いぼ」は複数の疾患の総称
  • 基本的に良性腫瘍か感染症だが、悪性腫瘍の初期段階と鑑別が必要なものがある
  • 正確な診断に基づいて、的確な治療を行うことが重要

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